伊達市議会 - 定例会

第1章 はじめに

令和6年第1回伊達市議会定例会の開会にあたり、市政執行につきまして、私の所信の一端を申し上げます。
昨年4月の統一地方選挙におきまして、市民の皆さまの温かいご支援をいただき、市長に就任して以来、早いもので10か月が経過するところです。
この間、市議会議員並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りながら、各施策に取り組み、市政を運営してまいりました。

市長就任以降、市民や関係団体、企業など、多くの方々と直接対話をさせていただく中で、伊達市を良くしたいとの熱意あふれる多くの想いに触れることができました。
皆さまからの期待と、まちに対する想いをしっかりと受け止め、伊達市の更なる発展のために、市長として先頭に立ち、「これからも住み続けたい」、「このまちに戻ってきたい」と思えるようなまちづくりに全力を尽くす決意であります。

さて、昨年は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行によって、さまざまな地域行事が再開されたほか、観光客の往来が増え、少しずつではありますが、賑わいが戻ってまいりました。その一方で、コロナ禍やウクライナ情勢の影響による物価・エネルギー価格の高騰によって、現在もなお、市民生活や地域経済は大きな影響を受けております。
また、国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口によると、2040年には全都道府県で人口減少が始まり、伊達市においては、2050年の人口が19,762人と推定されています。
特に働き手の中心世代である生産年齢人口の減少が著しく、すでに労働者不足や地域の担い手不足など社会活動に影響が生じており、少子高齢化に歯止めをかけなければ、多くの自治体で地域の維持が困難になることが予想されます。
そのような中で、国においては、急速な人口減少・少子化の状況に対応するべく、子ども・子育て政策の検討が進められております。経済的支援のほか、子育てサービスの拡充、共働き世帯への支援などの政策によって、社会全体で子どもや子育て世帯を支える環境の構築が期待されているところであります。

地方自治体としては、こうした国際情勢や経済状況など、急変する社会情勢にも目を向けつつ、しっかりと地域課題を捉えながら施策を展開していくことが求められております。
本市においては、「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」を基本理念として、子どもの笑顔が地域の子育て世代だけでなく、全ての世代を含む市民全体に元気や活力を与え、まち全体に活力を生み出すまちづくりを進めるとともに、子どもや若者、高齢者が活躍できる環境づくりに努めているところであります。

これまでも伊達市は、シニア世代に長く住み続けられる人気の移住先として選ばれてきました。
本市の魅力をさらに磨き上げ、子育て世代も含めたあらゆる世代に選ばれるまちとして発展させるためにも、各施策を着実に実行し、持続可能で魅力あるまちを目指してまいります。

第2章 未来につなぐ伊達の実現に向けて

私は、「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」を基本理念として、
「子どもたちの自信と笑顔があふれるまちづくり」
「子育てがしやすいまちづくり」
「安心・安全に生活をおくれるまちづくり」
「地域経済に活気のあるまちづくり」
「市民一人ひとりの声を受け取るまちづくり」
「持続可能で充実した行政サービスを提供できるまちづくり」
「伊達市の将来を見据えたまちづくり」
以上の7項目を重点施策と位置づけ、取り組んでまいります。

1点目の「子どもたちの自信と笑顔があふれるまちづくり」についてであります。
最大の地域課題である人口減少対策として、若い世代が安心して子どもを育てられるまちづくりを進めてまいります。そのためには、質の高い教育の実現が重要であり、学力の向上はもとより、地域の特色を生かしながら、学校と地域が一体になって子どもが健やかに学び成長できる環境づくりに努めます。
子どもの可能性を広げるためには、多くの経験とさまざまなチャレンジを支える取組が必要と考えております。小・中学生の資格取得への支援を行うほか、一人ひとりの社会的自立に向けて、主体的に考え課題解決につながる能力を育む「だて学」の充実を図ってまいります。これらの取組を通じ、子どもたちの探究的な学びを深め、本市の地域資源を活用し魅力ある教育を受けられる環境づくりを進めてまいります。
また、市立学校の普通教室等へのエアコン設置を進め、快適な学習環境の確保に努めてまいります。

2点目の「子育てがしやすいまちづくり」についてであります。
子育て世帯の経済的な負担軽減を図るため、昨年から、学校給食費の助成や一部無償化を実施しているほか、本年8月からは、子ども医療助成制度の対象を18歳まで拡大する予定であります。
妊産婦の体調不良や陣痛などの緊急時に、家族等のサポートが受けられない場合の移動の負担軽減を図り、安心・安全に受診や出産ができるよう、自宅から産科医療機関に向かう際のタクシー代の一部助成を実施します。
また、妊娠期から出産・子育てまで一貫して相談に応じる伴走型支援と給付金による経済的支援を一体的に実施し、妊婦や子育て世帯の心理的、経済的負担の軽減を図ってまいります。
これまでの施策と合わせて、より安心して子どもを育てられる環境づくりを推進してまいります。

3点目の「安心・安全に生活をおくれるまちづくり」についてであります。
近年、各地で相次ぐ自然災害のほか、有珠山噴火のリスクがある本市においては、市民の生命や財産を守るための防災対策やインフラ整備は重要であると認識しております。
また、将来にわたり安心して住み続けられるまちになるためには医療体制の確保は必要不可欠であり、公的病院である伊達赤十字病院と地域医療の在り方について引き続き協議を続けてまいります。
加えて、人々の価値観も多様化している現代において、本市の教育や文化などを生かし、心の豊かさを感じられるまちづくりを進めることも、魅力ある地域を創り上げていくうえで重要であります。生涯学習の拠点の一つである伊達市立図書館の再整備については、検討委員会や市民の皆さまから多くのご意見をいただき検討を進めているところです。読書や学びを通じて、多世代が集い、多くの方から親しまれる施設になるよう取組を進めてまいります。

4点目の「地域経済に活気のあるまちづくり」についてであります。
持続可能なまちづくりには、市内経済の活性化が重要です。
本市の基幹産業である農業をはじめとした第一次産業が本市の強みであり、既存の産業を生かしながら、産業の創出や多角化を目指してまいります。
また、ふるさと納税制度を十分に活用することにより、地場産品の販路拡大、事業者の売上向上を図るとともに、事業者や関係団体と連携しながら、地域経済の活性化と伊達市の認知度向上につなげてまいります。
併せて、積極的なトップセールスも含めこれまで以上に企業誘致を進め、新たな雇用を生み出し、伊達に住み続けられる環境づくりに努めてまいります。

5点目の「市民一人ひとりの声を受け取るまちづくり」についてであります。
行政だけでなく市民や関係団体などさまざまな方の力を借りながら、一体になってまちづくりを進めることが重要と考えております。過日開催されたタウンミーティングや都市計画マスタープランの住民懇談会においては、多くの声をいただくとともに、市の現状や取組を説明し、理解を深め合う機会になりました。
市民協働のまちづくりを進めるためには、市の施策や情報を多くの方と共有し、共に考え行動することが重要であります。そのためにも、市の取組に興味関心を持っていただけるよう、市政のわかりやすい情報発信と市民との積極的な対話を進めてまいります。
伊達市協働まちづくり推進事業「みんなでちょこっとまちづくり“ちょこまち”」や室蘭工業大学と連携して実施する「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)事業」など、まちの課題解決や魅力向上のために「まちづくりの自分ごと化」の意識を醸成し、市民力が発揮される環境づくりに努めてまいります。

6点目の「持続可能で充実した行政サービスを提供できるまちづくり」についてであります。
充実した行政サービスを提供するためには、持続可能で安定した財政基盤が必要です。人口減少や少子高齢化に伴う社会保障費の増大や税収の減少など、今後の地方財政はさらに厳しい環境になることが予想されることから、必要な事業の精査とDXの推進による効率的な業務改善や市民サービスの向上に努めてまいります。
また、伊達開来高校と連携し、若い世代や小中学生も含めた子どもたちの意見を聴きながら、今後の伊達市のまちづくりについて共に考えてまいります。

7点目の「伊達市の将来を見据えたまちづくり」についてであります。
現在、人口減少をはじめ、少子化や高齢化の進行、頻発する自然災害への対策など多くの課題に直面しておりますが、これらの諸課題に立ち向かい、次の世代に魅力ある伊達市を引き継いでいく必要があります。
若者の定住促進と地域の人材確保を目的として、奨学金の返還支援の助成を行います。また、公共交通については、通学、買い物、通院など日常生活を支えるための交通手段の確保が求められています。子育て世帯や高齢者も将来にわたり安心して住み続けられるまちとするためにも、公共交通事業者や関係団体などと連携しながら、伊達市の将来を見据えた持続可能な交通体系の検討を進めてまいります。

私たちを取り巻く社会状況の変化に対応するべく、柔軟かつスピード感を持って施策を打ち出していく必要があります。
これらの施策を進めるにあたり、市民目線に立った、分かりやすい情報発信に努め、多くの皆さまに市の取組を知っていただき、まちづくりの方向性を共有してまいります。

第5章 おわりに

以上、令和6年度の市政執行に臨む、私の所信の一端を述べさせていただきました。
伊達市は、自然や食、歴史や文化、人々の温かさなど、恵まれた資源が豊富にあり、高いポテンシャルを有するまちであると感じています。この恵まれた地域資源を磨き上げ、その可能性を引き出すとともに、市民の皆さまにまちの魅力を伝え、共感してもらうことで、伊達に愛着や誇りを持っていただきたいと考えております。
同時に、市外の方々にも魅力を伝えていくことが、選ばれるまちにつながるものと認識しております。

日々変化する社会情勢の中、受け継がれてきた伊達を更に発展させるため、市民と行政がまちづくりの理念や方向性を共有するとともに、伊達に携わる人々が協力し合い、知恵や経験を分かち合うことで、大きな課題も乗り越えることができるものと信じております。
諸課題にもスピード感をもって前向きにチャレンジし、持続可能なまちになるよう市民の皆さまとともにまちづくりを進めてまいります。

子どもや若者、高齢者が生き生きと暮らし活躍できる環境をつくるため、「子どもの笑顔が真ん中にあるまち」を目指し、本市にとって必要な施策を一つずつ積み重ね、市民の皆さまが伊達に魅力を感じ、誇りに思えるまちになるよう、市政を推進してまいります。

市議会議員並びに市民の皆さまのご支援とご協力を引き続き賜りますよう心からお願い申し上げ、市政執行方針といたします。

令和6年度市政執行方針について


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